能登半島地震は新潟県内でも最大震度6弱を観測し、液状化現象を広範囲に引き起こした。1万棟を超えてなお増え続ける住宅被害に、罹災(りさい)証明書の交付は追いつかない。1日で発生から1カ月。日常を取り戻せる日はいつになるのか、住民たちは見えない先行きに不安を募らせている。(茂木克信、北沢祐生、井上充昌)
「被災直後から状況は何も変わっていない」。新潟市西区寺尾東1丁目で板金業を営む男性(62)は、そう言って肩を落とした。
液状化で自宅は傾き、隣接する工場も大きくひしゃげた。今も数百万円の借金があるのに、家や工場の再建にさらに多額の費用がかかる。被災した近所の住宅の修繕などで何とか食いつなぎながら、頭には廃業の2文字が浮かぶ。
被災者向けに市が用意した市営住宅の第1次募集に申し込んだ。対象の56戸に対し希望したのは105世帯。抽選で落選した。
23戸が対象の第2次募集にも応募した。ただ、仮に8日の抽選で当選しても、罹災証明書で自宅が半壊以上と認定されていなければ入居できない。
罹災証明書の交付、申請の8%
男性の手元に証明書はまだなく、証明書交付の準備が整ったという市からの案内も届いていない。いつ証明書は交付されるのか、被害程度はどう認定されるのか。気持ちが落ち着かない。
市には1日時点で証明書の申請が1万1495件あり、申請がない住宅も含め1万1272棟について被害程度を認定するための調査を実施した。交付まで終わっているのは932件。申請の8%にとどまる。
同市西区善久のリフォーム業広川隆一さん(66)も証明書の交付を待っている一人。自宅の傾きを元に戻す工事を考えているが、被害程度の認定次第で公的支援の上限額が変わる。「とにかく交付を急いでほしい」とこぼした。
新潟市内で明暗を分けた震度
今回の地震では、液状化が新…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル